数分と経たないうちに、こちらの様子を遠巻きに見ているスタッフたちの山ができた。


 その視線があまりに痛い。

 ママたちはメニューを見ているふりをしてうつむく。



 その突き刺さるような視線を一身に浴びている当の本人は、左右の視界をマスクによって遮られているため、全く気づいていない。



 鼻歌をかましながらメニューを眺めている。

(だから、鬼太郎の鼻歌はやめろって!)






 メニューから顔を上げた加奈。


「あれ?

 みんなどうしたの?」




 見ればママたちは肩をすぼめ、居心地が悪そうにうつむいている。



「えっ、あ、うん。

 厨房の人達がこっちを見てるなあって・・・」



 加奈の正面に座るママさんが答えた。