落ち着いているからか?


俺はダッシュし、前を歩く片桐を追い越した。


一応、追い越す時、

俺は確認の為、

横目で片桐の横顔を確認した。


前を見て、凛として歩く片桐の横顔は綺麗だった。


誰よりも。


誰が見ても、美人と言うだろう。


なのに、

俺が心を奪われたのは、



その美しさではなかった。

俺ははっとした。


すれ違った瞬間の瞳の奥にあるもの…。

また…あの瞳だ。

俺は、足を止めることができずに、

片桐を追い越してからも、しばらくは走ってしまった。

駅のすぐそばまで、全力で走った俺は、

急いで電車に乗りたいだけの生徒に見えただろう。

だけど、俺は足を止め、反転した。

学校の方を睨むように見つめる俺の後ろを、

電車が横切っていった。