「もう…始まってるかな?」

携帯で時間を確認しょうとして、俺は頭を抱えた。

「電池が切れてる…」


土曜日を利用して、学校の許可を取り、一般にも解放されたライブだが、

わざわざ来る人は少ない。

休みの為、学生もほとんどいない。


なのに、俺は緊張していた。

渡り廊下から、誰もいないグラウンドを眺め、


「学校って…誰もいなかったら、学校って感じがしないな」

呟いた。

まあ…校舎内には、いるのだけど。


緊張しる癖に、疲れから…生欠伸をしてしまった。

大口を開けた俺の耳に、クスクスと笑い声が聞こえた。

声の方に振り向くと、制服姿の片桐がいた。

「あっ…」

俺は慌てて、口をふさいだ。