『好き』と鳴くから首輪をちょうだい

「はあ、幸せ。美味しい物が毎日食べられるって最高」

「ふ、大袈裟だな」

「だって本当だもん」


眞人さんが、厨房の端っこに置かれた椅子に座ってお茶を啜っていた私の前に来る。


「口開けろ」

「はい」


言われるままに開けると、食べ物が押し込まれる。
これ以上食べたら太ってしまいそうなんですけど。


「んむ」


もぐもぐと咀嚼する。

お餅……?
表面はカリッとしていて、噛むともちもちふわふわしている。
酢醤油と芥子が程よいアクセントになって美味しい。
ふわっと香るのは桜海老だろうか。他にも何か入っている気がする。色んな味がほんのりと残った。


「ふお! 美味しい!」

「仕入れた大根が水っぽいんでな。大根餅にしてみた。本来は中華だけど、今日の一品料理に加えようかと思って」

「わあ、大根餅って初めて食べた! すっごい美味しい」


大根の青臭さが全くない。大根だと言われなかったら気付かなかったかもしれない。


「そうか。じゃあもう一切れ食うか?」

「食べたい!」


言うと、眞人さんはすぐにもう一切れ持ってきてくれた。
口に入れる前にどんなものかを見てみる。

こんがりと焼かれた丸く平べったいお餅に、芥子と刻み葱がちょこんと乗っている。
眞人さんが酢醤油をほんの少し垂らしてくれる。


「このピンクの、桜海老となに?」


お餅のなかにちらちらと顔を見せているピンク色の物を指差す。


「中華ハム。見た目じゃわからないけど、干し貝柱も入ってる」

「ふうん、だから色んな味がしたのかあ」


口を開けると、眞人さんが大根餅を食べさせてくれる。