『好き』と鳴くから首輪をちょうだい

「知らないかもしれないけど、俺は誰でも懐に入れられるほど、器用でもお人よしでもない」


知ってる。
眞人さんは優しいけれど、誰にでも優しいわけじゃないって、知ってる。
私はなんて馬鹿なんだろう。
眞人さんを、信じられなかった。
私を助けてくれた人を、信じ切れていなかった。
涙がボロボロ零れる。そんな私の頬を、眞人さんが拭ってくれた。


「クロだってきっと俺と同じだ。だから、心配するな。ここは、お前の場所だから」

「わ……たし、ここにいていいです、か?」

「ああ」

「よ、よかった……」


眞人さんの言葉にほっとする。
胸の中でパンパンに膨らんでいた不安を、大きなため息にして吐き出した。
涙をごしごしと拭いて、気持ちを落ち着けようとする。そんな私の頭を、眞人さんはずっと撫でてくれた。


「えへへ、ありがとうございます」

「お、やっと笑ったな」


頭を撫でる手が乱暴に動く。わしゃわしゃと髪を掻き回された。


「わあ! 髪がぐしゃぐしゃになっちゃう」

「ほんと、この髪いいな。シロに良く似合ってる」

「そ、それ本気で言ってます? カリフラワーヘアですよ?」


眞人さんって、趣味が極悪だと思う。それか、適当に褒めてるだけかも。
ぶう、と頬を膨らませてみせると、彼は心底意外だと言うように目を見開いた。


「勿論本気だけど、かわいいじゃないか、サチみたいで」

「犬だし、それ……」


眞人さんの、頭を撫でる手が止まらない。それは心地よくて、私はされるままに頭を預けた。