*
眞人さんと梅之介とのんびりとした正月休みを過ごしていたら、太った。
美味しいご飯と時間があれば、私の体は存分に脂肪を蓄えられるらしい。
『ファンキーな頭の上にデブったら、ゆるキャラグランプリに参戦できそうだな』
ふふんと梅之助に鼻で笑われたので、ダイエットを決意した私である。
が、眞人さん手作りのお弁当を拒否しないと、いつまで経っても体重は減らないだろう。
私は今日も今日とて、お弁当の誘惑に負けた。
せめて、小さめのお弁当箱を買って帰ろう……。
「生活が落ち着いてる証拠よ、きっと。私としては、安心できた」
松の内もとっくに過ぎ去り、一月も半ば。昼休みの、休憩室である。
満腹になってしまった自分に自己嫌悪していると、横に座っていた真帆が笑った。
「独身の男と同居なんて聞いた時は本当に不安だったし、正月休みも気が気じゃなかったけど。今の白路を見てるといらない心配だったなって思えるわ」
「うん、大丈夫だよ。今、毎日が楽しいって思えてるもん」
真帆の抱く心配なんて杞憂に過ぎない。
へらりと笑った私に、真帆は「馬鹿達也につけられた傷も、思ったより早く回復しそうね」と言う。
「うん。自分でも、そう思う」
すっかり忘れたわけではない。
夜眠る前には泣きそうにもなるし、他愛ない日々を思いだしては胸が痛む。
アパートのドアを開けたら達也がクリスマスパーティーの支度をしていて、笑顔で私を出迎えてくれるという初夢を見て、泣きながら目覚めたりもした。
だけど、この悲しみにはちゃんと終わりがあって、私は達也のことをすっかり忘れられる日が来ると、確信してもいる。
私は、達也を失った辛さを、ゆっくりとだけれど過去のものにしていっている。
「大丈夫。次の恋愛だって、私は出来る」
「ふふ、偉い! あんたって馬鹿正直だし、大馬鹿がつくくらい人が好いもの。不幸続きなんてきっと神様がさせないわよ」
「ありがとう……ってあ、あれ? これってちゃんと褒められてる?」
「もちろん」
ふたりで笑い合っていると、休憩室のドアが開いて先輩である結川さんが入ってきた。
私たちの近くの椅子に座り、コンビニの袋を置く。
「あー、疲れた。今日でようやく八連勤が終わりよー」
「お疲れ様です! 八連勤って大変ですね、結川さん」
「あたしさー、月末にグアムに行くから、連休取ってるでしょ。だから前半は働きづめ」
ペットボトルのお茶を飲み、はー、と大きなため息をついて机に突っ伏した結川さんだったが、「あ、そうだ」と顔を上げる。
「松子さあ、もう男と別れそうだよ。他に好きな男ができたって」
眞人さんと梅之介とのんびりとした正月休みを過ごしていたら、太った。
美味しいご飯と時間があれば、私の体は存分に脂肪を蓄えられるらしい。
『ファンキーな頭の上にデブったら、ゆるキャラグランプリに参戦できそうだな』
ふふんと梅之助に鼻で笑われたので、ダイエットを決意した私である。
が、眞人さん手作りのお弁当を拒否しないと、いつまで経っても体重は減らないだろう。
私は今日も今日とて、お弁当の誘惑に負けた。
せめて、小さめのお弁当箱を買って帰ろう……。
「生活が落ち着いてる証拠よ、きっと。私としては、安心できた」
松の内もとっくに過ぎ去り、一月も半ば。昼休みの、休憩室である。
満腹になってしまった自分に自己嫌悪していると、横に座っていた真帆が笑った。
「独身の男と同居なんて聞いた時は本当に不安だったし、正月休みも気が気じゃなかったけど。今の白路を見てるといらない心配だったなって思えるわ」
「うん、大丈夫だよ。今、毎日が楽しいって思えてるもん」
真帆の抱く心配なんて杞憂に過ぎない。
へらりと笑った私に、真帆は「馬鹿達也につけられた傷も、思ったより早く回復しそうね」と言う。
「うん。自分でも、そう思う」
すっかり忘れたわけではない。
夜眠る前には泣きそうにもなるし、他愛ない日々を思いだしては胸が痛む。
アパートのドアを開けたら達也がクリスマスパーティーの支度をしていて、笑顔で私を出迎えてくれるという初夢を見て、泣きながら目覚めたりもした。
だけど、この悲しみにはちゃんと終わりがあって、私は達也のことをすっかり忘れられる日が来ると、確信してもいる。
私は、達也を失った辛さを、ゆっくりとだけれど過去のものにしていっている。
「大丈夫。次の恋愛だって、私は出来る」
「ふふ、偉い! あんたって馬鹿正直だし、大馬鹿がつくくらい人が好いもの。不幸続きなんてきっと神様がさせないわよ」
「ありがとう……ってあ、あれ? これってちゃんと褒められてる?」
「もちろん」
ふたりで笑い合っていると、休憩室のドアが開いて先輩である結川さんが入ってきた。
私たちの近くの椅子に座り、コンビニの袋を置く。
「あー、疲れた。今日でようやく八連勤が終わりよー」
「お疲れ様です! 八連勤って大変ですね、結川さん」
「あたしさー、月末にグアムに行くから、連休取ってるでしょ。だから前半は働きづめ」
ペットボトルのお茶を飲み、はー、と大きなため息をついて机に突っ伏した結川さんだったが、「あ、そうだ」と顔を上げる。
「松子さあ、もう男と別れそうだよ。他に好きな男ができたって」



