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時は過ぎ、期末試験も終わった今日。相変わらず2年の成績上位者名のいちばん上には、"鈴森星乃"の文字。1位じゃなかったことってあるんだろうか。


貼り出された紙を見つめ、誰にも聞こえないくらいの音量でため息をついた。



試験が終われば後は夏休みが訪れるのを待つのみ。

周囲は皆、解放感にあふれていた。



教室に入ると、ただでさえ暑いのに、もっと暑苦しい奴が俺に近づいてくる。こいつは本当に、季節問わずいつだってテンションが高いな。



「よう、泰生!」


「うざい」


「ひでぇ」



悪態をつくのが、もう普通になってしまってる。

そうやって駿と話していたとき。ふと、視界の右側に女子生徒のスカートが映り、その人の顔を見る。同じクラスの女子だった。



その人は、俺がそっちを見たことに驚いたような顔をして、口を開いた。



「あ、あの...桐山くんのこと、呼んでる人がいるんだけど...」