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ざわざわと騒がしい教室。


小さな力でも大きな音の鳴ってしまう、教室の扉。それを開けても、誰も気には留めない。



楽しげな生徒たちの間を縫って、自分の席へとたどり着く。椅子を引いて座るなり、かばんを机の横にかけもせず、教科書も入っていないペラペラのそれに顔を埋めた。


朝は、俺のいちばん苦手とする時間帯だ。



目を閉じてみるも、余計に周りの音が大きく聞こえて落ち着かない。


小さく舌打ちして、俺はかばんの中からスマホとイヤホンを取り出す。通学で愛用している無料で音楽が聞けるアプリ。それを開いて、イヤホンを耳に突っ込んだ。

周囲の声が聞こえないくらいまでに音量を上げて、再びかばんに突っ伏した。



...別に、友達がいないわけじゃない。


ただ、自分から進んで関わりにいこうとするのが面倒くさいだけだ。



何をするのも、本気にはなれなくて。



俺の世界を例えるなら、無彩色ばかりの、白黒の世界だ。色味がなくて、ただ過ぎていく時間をぼんやり眺めたみたいな。

そんな冷め切った毎日が、



俺、桐山泰生の日常である。