歌が運ぶ二人の恋

「おばさん、もしかしてバイトさん?」

「そうだよ、家の看板娘さ」

「て、店長さんっ!」

看板娘と言われて、一気に頬が熱くなる。

「そ、それでは席をご案内します」

案内したところは、日当たりの良い窓側の一番後ろの席。

「うん、ここなら大丈夫かな?」

「ほんとうか、それは?」

「僕が大丈夫って言ってるんだから、大丈夫だよ」

お水をお盆に乗せて、二人がいる席へと運ぶ。

「ご注文が決まりましたら呼んでくださいね」

そう言い、私はまた店長の元へと戻る。

「なぁ、あの子可愛くないか?」

「別に、ただの普通の女だろ。涼介……、そういうこと言ってると、あいつに怒られるぞ」