歌が運ぶ二人の恋

【蘭】

「先輩どこにしますか?」

「うーん、やっぱり シュムックケルプヒェンだね」

「やっぱり、あそこのお店ですよね」

「うん、あそこのチーズケーキ美味しいからね。蘭ちゃんはあそこでアルバイトしてるんでしょ?」

「はい」

先輩もチーズケーキ好きなんだ。

正宗と同じだ。

昨日正宗が選んでいったケーキは、殆どチーズケーキ類だったし。

「どうかしたの?」

「あっ!いえ、昨日お店に先輩と同じくチーズケーキを選んだお客さんが居たんです」

「へぇ、チーズケーキ好きな人に悪い人は居ないからね」

先輩は胸の前で腕を組んでうんうんと頷く。

良かった。

先輩元気になってくれた。

でも、やっぱり私まだ迷うよ、オーディション受けるかどうか。

私の魅力は分かったけど、よく考えたら私そんなに歌上手くないし、人前で話すのも無理だ。