歌が運ぶ二人の恋

放課後になり、私はオーディションの事を考えていた。

「私の魅力って何だろ?」

そればかり考えて廊下の角を曲がった時、また誰かとぶつかってしまった。

「いった。もう私ってばまた」

「いたたた」

「す、すみません!」

急いで立ち上がり頭を下げる。

「こっちこそごめ、って蘭ちゃん?!」

「え?」

名前を呼ばれ前を向いた時、私の顔は恥ずかしさでまっ赤になってしまった。

「か、かなめ先輩!」

私の憧れの先輩、橋かなめ(はしかなめ)先輩が目の前に居た。

スラっとした長い足に、高い身長。

そして、誰もが見惚れてしまう整った美しい顔。

「す、すすすみませんでした!」

は、恥ずかしい!

穴があったら今すぐ入りたい。

「大丈夫だよ蘭ちゃん」

「で、でも」

かなめ先輩は、私と同じマンションに住んでいて部屋もお隣同士。

「大丈夫だから、ね?」

かなめ先輩は、私に優しく微笑んでくれた。

その笑顔を見て私も自然と笑顔になる。

「それより蘭ちゃん、凄く悩んでいた様子だったけど、何かあったの?」

か、かなめ先輩に見られてた。