歌が運ぶ二人の恋

「あのね、私は蘭にまだ一つ言っていない事があるの」

「えっ?」

「貴方のこと、蘭は私の本当の娘じゃないの」

「っ?!それでも、私のお母さんは、今目の前にいるお母さんだよっ!」

もう、何を言われても驚かない。

お母さんの本当の娘じゃなくても、お母さんは私のお母さんだよ。

「蘭、ありがとう」

お母さんは、私のところに来ると優しく抱きしめてくれた。

「もっと早く言えてたら良かったのに、貴方にはさらに辛い現実を与えてしまった」

「ううん。さっきも言ったけど、遅くても早くても、私は同じことを言っていた。私のお母さんは、今目の前にいるお母さんだって」

「ありがとう蘭、もうこれでお母さんは、安心して行ける」

「えっ!」

お母さんの手を見た時、その手は薄くなり始めていた。

「待ってお母さん、私まだお母さんに言いたいこといっぱいある!」

「大丈夫、全部分かってるから」

お母さんは、最後に私の胸のあたりを指さした。

「私は、いつもここにいる」

「……うん」

「貴方も早く行きなさい、貴方を待っている人がいるわよ」

「私を待っている人?」

その時、私の中で一人の男の子の名前が浮かんだ。

「ありがとうお母さん、最後に会えて良かった」

「私もだよ、蘭」

「大好きだよ、お母さん!」

私は、最後にお母さんに笑顔を向けた。

これまでの笑顔よりも、一番とびっきりの笑顔をーー