歌が運ぶ二人の恋

そうだ。

私の小さい頃の夢は、キラキラなアイドルだった。

だけど、いつしかその夢を私は忘れてしまっていた。

だから、お母さんは私に夢を諦めさせたくなかったんだ。

私が小さい頃に抱いた夢を、お母さんは壊したくなかったんだ。

「お母さん……」

どうしよう、また涙が出てくる。

最近泣いてばっかりだな、私は。

「約束なんだからね」

「えっ?」

すると、私が見えていなかったお母さんは、私の方に視線を向けている。

「お母さん。見えるの?」

「うん、ちゃんと見える。未来の貴方の姿が」

「お母さん……」

涙が頬を伝って、私はそれを拭う。

「ごめんね、私は貴方の傍に居られなくて」

「ううん。お母さんの気持ちは分かったから」

「そう、良かった」

私は、お母さんの笑顔が大好きだった。

私は、お母さんの笑顔が見たくて色んなことをやった。

きっと、小さい時の私の夢は、お母さんの笑顔が見たくて抱いた夢なんだと思う。

そこから大きくなって、今は歌を聴いてくれる人を笑顔にしたいと思っている。

一度忘れてしまっていた私の夢だけど、笑顔にしたいという気持ちは残っていた。