歌が運ぶ二人の恋

俺は、立ち上がってかなめの部屋から出て行った。

「頑張ってね、正宗」

蘭の部屋の扉の前に立って、俺は深呼吸する。

「よしっ」

俺は、慎重に扉をノックする。

だけど、蘭の返事は返って来ない。

「あっ、そうだ。寝てるんだった」

ドアノブに手をかけ、ゆっくりと扉を引く。

「お邪魔しまーす」

部屋の中に入り、足音を立てないように蘭が寝ている部屋へと入る。

「ここは勝手に入るのは、男としては駄目なんだろうけど」

俺は、今すぐ蘭の傍に行きたかった。

「ノックしとけば大丈夫か?」

軽くノックをし、部屋の中に入る。

蘭は、ベッドの上で寝ていて、かなめの言う通り猫のぬいぐるみを抱きしめて寝ていた。

「良かった」

寝ている蘭の傍に行き、壁によりかかり座る。

蘭の顔を見ると、目元は赤くなっていた。

「やっぱり、俺が出て行った後も泣いたんだな」

この三日間のあいだもずっと一人で。

「ごめん、蘭。一人にして」

本当にごめんな、一番傍に居てあげなくちゃ行いけない時に、俺はお前の傍を離れた。