歌が運ぶ二人の恋

「どいつもこいつも同じ質問を俺にして来て、俺だって傍に居てあげたいさ、だけど無理なんだよ」

「何がどう無理なんだ?それは、蘭ちゃんに拒まれたからか?」

「それもある、だけど一番は蘭とどう接すればいいのか分かんないんだよ」

蘭は、きっと今でも一人で泣いているかもしれない。

そのこと考えただけで、俺の無力さにイライラする。

「それは、深く考えすぎだ」

「深く考えすぎ?」

「正宗は、正宗が思うように行動すれば良いんだよ」

俺が思うような行動?

「今の正宗が取りたい行動はなんだか、よく考えなよ」

涼介は、そう言うと俺の隣を通り過ぎて行った。

「分かんねぇよ、そんなこと」

その日の練習を終えた俺は、車を走らせてある場所へと向かった。

俺が向かったのは、蘭の住むマンションだ。

蘭の部屋の扉の前まで来て、ノックをしようと手を上げるが、俺は上げる手を止めた。

「今の蘭に会って俺はどうする?何をしたいんだ?」

扉の前で色々考えていると。

「正宗?」

「か、かなめ?」

隣の部屋から、かなめが顔を覗かせていた。