歌が運ぶ二人の恋

そして、楽屋を出て事務所の外へと出る。

「えっと、病院は隣町だし!」

ここから駅は近いけど、駅から病院までの道のりは遠い。

でも、この時間帯だとバスの時間は。

すぐお母さんの傍に行きたいのに、何をどうすればいいのか分からなくなっちゃった。

「どうしよ、こうしてる間にもお母さんがっ!」

お母さんが死んじゃうかもしれない!!

「おいっ!」

「っ!」

誰かに肩を掴まれゆっくりと振り返る。

「お前こんなところで何してんだ?!」

「ま、正宗!」

正宗の顔を見た途端、さっき拭った涙が再び頬を伝う。

「蘭?」

私の異変に気づいた正宗は、肩を掴んでいた手を離し、私を抱きしめてくれた。

「どうした?」

「……お母さんが……、死んじゃうよ!」

「っ!!」

正宗は、私の手首を掴むと地下の駐車場に向かって走り出す。

「俺が病院まで連れてく」

「でも、COSMOSの仕事は?」

「仕事よりお前の方が大事だ!」

「正宗……」

正宗の車に乗り込み、正宗は病院まで車で走らせた。

車に乗って病院に着くまで、正宗は私の手を握っていてくれた。

病院につき私は、急いで集中治療室に向かった。

「お兄ちゃん!」

「蘭!?お前なんで」

「だってお母さんがっ!」

その時、集中治療室の扉が開いて、中からお母さんを担当していてくれた医師が出てきた。