【蘭】

正美さんと正宗とのことがあって数日、私たちは、次に出演する歌番組の収録をしていた。

「では、本番行きまーす」

「はーい」

曲が流れ出し、私たちは歌い始める。

『君に恋した時から、私の中にはずっとあなたばかりがいた。目が合えば高鳴る私の胸、見つければ目でふと追ってしまっている』

この曲は、ハンナさんに作ってもらった曲で、私はこの曲が好き。

だって、今の私にピッタリな曲だから。

「はい、おっけいです」

「お疲れ様でした!」

楽屋へともどった私たちは、次の収録に向けて準備を始める。

「なんかあっという間だよね、ここまで来れた時間なんてさ」

「そうですね」

「時が過ぎるのは早いからな」

「ちよっと、可愛いこと言うじゃん優」

「私だって、これくらい言うさ」

ほんと、里音の言う通りあっという間だったな。

正宗と出会ったことなんて、つい最近だと思っていた。

でも、時間はあっという間に過ぎて行った。

正宗と出会って、アイドルのオーディション受けて、初めてのライブで不安で押し潰されそうになったり、正宗から告白を受けて、思えば色んなことがあった。

「でも、私たちはまだまだこれからだよ。COSMOSより人気になるまで、私は走り続ける」

そういえば忘れてた。

COSMOSの人気を越えるという里音の野望を。

「これからも、みなさんと頑張っていきたいです」

「そうだな、私もまだあいつの人気を越えてないから」

優も同じような野望もってた。

そこで、鞄にしまっていたスマホが鳴り出した。

「誰だろ?」