歌が運ぶ二人の恋

「今日は、話せてよかったよ。正宗」

「俺もだよ母さん、また会いに行くよ」

「うん、待ってる」

カフェの前で俺たちは別れた。

その後は、蘭を車で送り届ける。

「ねぇ、正宗ってお母さんの前だと素直だよね?」

「そ、そんな事ねぇよ」

「あれれ?また図星」

こいつ、さっきから俺をからかって遊んでるよな。

絶対楽しんでやがる。

「だから、お前は少し黙れ」

「んっ!」

そのうるさい口を止めてやるよ。

「き、キスなんて反則だよ。意地悪!」

「お前がうるさいからだばーか、俺をからかうなんて百年はぇよ」

「だ、だって嬉しいんだもん」

「はっ?俺とキスしたことが」

「ち、違う!それも少しあるけど、正宗がお母さんと向き合えて良かったなと思ってさ」

「俺も思ってるよ、向き合えてよかったと」

でも、俺よりもお前の方が辛く大変な時がくる。

俺の中では、言うか言わないか迷ってることがある。

蘭、お前は葵さんの子供じゃないんだよ。

この現実を今の蘭に言うのは、とても辛いことだ。

きっと、辛くて悲しくて蘭は押し潰される。

信号が赤になり、俺は車を止めて蘭を抱き寄せる。

「正宗?」

「信号が青になるまで、こうさせてくれ」

俺ができることは、傍に居てあげることだけだ。