歌が運ぶ二人の恋

「愛する資格ならもう持ってんじゃん」

「えっ?」

「愛する資格なんて、俺が生まれた時点で母さんは持ってる、だから今更そんなこと聞くなよ」

愛する資格は、誰の親だって持ってる資格だ。

たとえ、家族と家族の絆が壊れたって、離れ離れになったって、愛する資格は消えない。

親が違ってもそれは同じことだ。

「ありがと正宗……」

「泣くなよ。そこにいるの希世だろ?」

「そうよ。希世。お兄ちゃんよ」

希世は、母さんの膝の上に座らされると、俺をじっと見てきた。

「初めまして希世、お前のお兄ちゃんだ」

「えっと、初めましてお兄……ちゃん。希世です、四歳です」

「知ってるよ」

「えっと……」

こうして妹を見てみると、妹も可愛いもんだな。

だけど、やっぱり少しだけ姉さんの面影がある。

「あのね正宗、これから私たちと一緒に暮らさない?」

「えっ?」

「そうだよ、一緒に暮らしなよ」

それは別に構わないけど、俺は――。

「遠慮しとくよ」

「な、何で?」

「俺さ一人暮らししてて、一人暮らしも悪くねぇと思ってるんだ」

「そう」

母さんは、少し残念そうにするけど、俺は付け加える。

「だけど、たまには母さんの手料理食べたいな。あまり食べたことないから」

そう付け加えると、母さんの顔が笑顔へともどった。

「なら、正宗の好きなものたくさん作らなくちゃ」

「うん、楽しみにしてるよ」

久しぶり話した母さんは、昔の母さんじゃなくて、葵さんみたいに子供を大切に思う親へと変わっていた。

今、俺は思うよ。

母さんと分かり合えてよかった。

向き合ってよかった。

蘭、お前に会えてよかった。