歌が運ぶ二人の恋

【正宗】

「何するんですか、って正宗?!」

俺は、蘭と母さんの話を全部聞いていた。

母さんは、俺を見て表情を変えていたけど、話を全部聞いていたから、怒りという気持ちは出てこなかった。

「久しぶり」

「何で正宗がここにいるの?」

「べ、別にそんなのいいだろ」

「もしかして、私の後追いかけてきた?」

「なっ!」

蘭に図星をつかれ、俺の頬が赤くなる。

「あっ、図星なんだ」

「うるせぇな、お前は少し黙れ」

蘭の後を追いかけてきたのには、ちゃんと理由がある。

恋人同士になっても、仕事中でなかなか会う機会がないから、二人の時間を多く作りたくて、今日マンションまで送ろうとしたら。

『蘭なら帰ったけど』

まだ残っていた南雲にそう言われ、急いで探していたら、蘭が一人の女の子と話してるところを見つけた。

名前を呼ぼうとしたら、母さんが居たから俺は隠れた。

何でここに居るのか分からなかった。

蘭と一緒に近くのカフェに入って行ったから、つられて俺もカフェに入り、蘭の後ろの席に座った。

そして、母さんが今の俺をどんなふうに思っているのかを聞いていたら、自然と笑顔になれた。

母さんの気持ちを知れたし、何より俺を迎え入れたいと思っていることを知れたから。

蘭の言葉には少しドキッとしたけど、あいつのおかけで、俺はまた一歩踏み出せそうだ。

「正宗、聞いてるの?」

「聞いてるよ、そんなに大声出さなくてもいいだろ」

俺は立ち上がり、蘭の隣に座り帽子を返す。

「久しぶりね、正宗」

「うん」

母さんは、気まずそうに俺を見てくる。

「そんなに固くならなくていいよ、さっきの話は全部聞いていたから」

「そう……。なら正宗は、今の私が思ってることが分かるのね?」

「うん」

母さんは、胸に手を当て深呼吸すると真剣な表情で言った。

「正宗、もう一度やり直させて。私に、あなたを愛する資格をください」

愛する資格か。