歌が運ぶ二人の恋

「希世?」

「あっ,お母さん!」

「あっ!」

希世ちゃんは、お母さんを見つけると走って行ってしまった。

「もう駄目でしょ、お店の外出ちゃ」

「はーい!」

か、可愛い。

「あのね、蘭ちゃん見つけたの」

「うっ!」

名前を呼ばれ肩が上がる。

「蘭ちゃん?」

正宗のお母さんらしき人は、私をじっと見てくる。

「こ、こんにちは」

「貴方もしかして、星美夜蘭さん?」

「は、はい。そうです」

どうしよう、誤魔化せなかった。

「まさか、こんなところで蘭さんに会えるなんて!」

「えっ!」

正宗のお母さんらしき人は、私の手を掴んできた。

「ずっと会いたかったのよ。うちの希世はね、貴方のファンなものだから」

「そ、そうなんですか、ありがとうございます」

完全に逃げられなくなった。

「はっ、ごめんなさい。私ったらつい」

「い、いえ」

この人、本当に正宗のお母さんなのかな?

正宗のことを虐待し、お姉さんに期待していた人には見えない。

「あの、一つ聞いてもいいですか?」

「はい?」

「正宗のこと、ご存知ですか?」

「……」

一瞬驚いた表情を見せた正宗のお母さんは、すぐに優しい表情へと戻った。

「はい、ご存知です。私は、正宗の母親の正美(まさみ)と言います」

やっぱり、正宗のお母さんなんだ。