歌が運ぶ二人の恋

「“正宗のあんな姿初めて見た、カメラに収めなくちゃ”って言ってさ」

「ごめんかなめ、お前は殴れないから涼介を代わりに殴るよ」

「だからっ!」

俺は、拳に力を入れて涼介に殴りかかる。

だけど、すんでのところで俺は手を止める。

「まぁ、今回は許してやる。涼介には俺に思いを伝えるきっかけくれたしな」

「あ、ありがと」

「涼介も言ったんだろ?かなめに」

「……うん。言ったよ」

「その様子だと、うまく行かなかったのか?」

「まぁそんなところかな?かなめがさ、プロポーズは嬉しいけど、俺の仕事が落ち着くまで待っててくれるんだってさ」

「あいつらしいな」

でも、本当はそんなこと思ってないんだろうな。

ずっと近くで見てたから分かるんだ。

あいつは、涼介と会えない日でもいつも涼介のことを考えていた。

一人で泣いているところも見たことがあった。

「どうすればいいのかな?」

「俺には、何と言えない。だけどさ、焦ることはないんじゃないか?」

「そうだね、気長に待つよ」

俺は、どこまで蘭の傍に居られるんだろう?

もしかしたら、あいつは俺以外に他に男を好きになるかもしれない。

俺のもとから離れていくかもしれない。

その点では、涼介の気持ちはすげぇわかる。

俺は、蘭以外の女なんて考えられない。

いつか、涼介とかなめと同じ位置に立つことになるかもしれない。

けど、そんなの覚悟の上だ。

あいつを俺の傍に置けるなら。

「COSMOSのみなさん、そろそろ準備お願いしますよ」

「じゃぁ、行こうか。阿修羅もいくよ」

「分かってる」

「だ、誰か俺を助けてほしいっす……」