【正宗】

「なぁなぁ、まっち」

「なんだよ至流婆、邪魔だからあっちに行ってろ」

「まっちは冷たいっすね、そんなに冷たいんじゃ蘭ちゃん呆れるっすよ」

「はっ?」

まさか、こいつら知ってるのか?

いやそんなはずない、人目のつかないところで告白したし、恋人になったなんて知らないはすだ。

「そういえば、まっち知ってるっすか?」

「何がだよ?」

そう聞き返すと、至流婆は一枚の写真を俺に見せる。

「これ、何か分かるっすよね?」

俺は、それを奪い取り写っている二人組を見て肩を揺らす。

「おい、この写真誰から貰った!」

「あっ、それ僕だよ」

「何で涼介がこんなの持ってんだよ!つーか、ストーカーしてたのかよ!」

「まさか、たまたまかなめとデートしてたら二人を見つけてさ、たまたま撮ったんだよ」

「“たまたま”で通せると思ったら大間違いだぞ涼介!」

何で運悪く居合わせてんだよ。

居ると知ってたら絶対あの場で言わなかった。

「いやー、凄かったよ正宗の告白。僕でもあそこまでは言わないかな」

「なんて言ったんすか?すごい気になるっす!」

「お前は聞かなくていいんだよ!」

俺は、至流婆の溝うちに拳を入れる。

「ぐはっ!」

「お前はしばらく寝てろ」

「おー、怖い怖い」

「涼介、テメーもだ」

「いやいや待ってよ!告白のところを覗き見してたのは謝るけど、これを撮ったのは僕じゃないよ」

「はっ?」

「僕の代わりにかなめが連写してたんだよ」

あいつ!