歌が運ぶ二人の恋

「なぁ、本当にお前が飾らなくていいのか?」

「い、いい。正宗がやって!」

「分かったよ」

私は、パニックに陥っていた。

今のは何?

正宗の顔がどんどん近づいてきて、それでーー

キス、したんだよね?

「蘭」

「な、何、まま正宗?!」

どうしよ、まともに正宗の顔が見られない。

「お前に伝えたいことがある」

「えっ?」

「私に伝えたいこと?」

「とりあえず、さっきのプリは渡しとく」

「う、うん」

正宗が私に伝えたいことってなに?

それは、私が期待してもいいの?

ゲームセンターを出た私は、正宗の後ろを歩いていた。

私に伝えたいことがあるって言っときながら、ずっと黙ったまんまなんだけ。

「あの、正宗?私に伝えたいことって?」

私がそう聞くと、正宗は歩く足を止めて、私の方に振り返った。

そして、じっと私を見つめてくる。

「そ、そんなに見つめられると……。恥ずかしいんだけど……」

「ご、ごめん」

そして、互いに視線をそらす。