歌が運ぶ二人の恋

「そう、そこっ!」

クレーンは、うまい具合に猫の頭を挟む。

「やった!これで猫はもーらい」

「そう簡単にはいかねぇよ」

「えっ?」

すると、猫の頭を挟んでいたクレーンは、猫をただ前に倒したいだけで元の位置に戻ってしまった。

「えぇぇ!」

「お前、クレーンゲームやったことないのか?」

「だ、だって滅多にやる機会なかったし、ゲームセンターに来たって、友達とプリ撮ったり太鼓叩いたりするぐらいだし」

うぅ、なんだか恥ずかしくなってきた。

「しょうがないな」

と次は正宗がクレーンゲームにお金を入れる。

「ま、正宗?!」

「俺が取ってやるよ、こういうの得意なんだよ」

得意ってことは、正宗意外とゲームセンターとか好きなのかな?

正宗が動かしたクレーンは、上手い具合に体の後ろを持ち上げると、猫はそのまま下へと落ちた。

「す、凄いよ正宗っ!」

どうしよう、すごい嬉しい。

「どうぞ」

「ありがとう正宗っ!」

「そ、そんなに喜ばなくていいだろ?」

「だって、嬉しいんだもん!」

初めて正宗に取ってもらった猫のぬいぐるみ、大切にしなくちゃ。