歌が運ぶ二人の恋

正宗は、顔を真っ赤にするとパクッとショートケーキを食べた。

「あっ……」

「なんだよその顔、お前が食えって言ったんだろ?」

「そうだけど、まさか本当に食べるなんて思ってなかった」

そりゃぁ、私からのアプローチだけど、正宗だからてっきりフォーク奪い取って自分で食べるのかと思った。

「お前なぁ……」

「ご、ごめん!」

やばい怒らせた。

「なら俺も、お前に同じことをする権利があるよな?」

「えっ?」

気づけば私の目の前にチーズケーキが刺されたフォークが向けられていた。

「お前も食え!」

「えええ!」

な、なんで私まで?!

てか今日の正宗おかしい。

「も、もぅ!」

あんなことやるんじゃなかった。

これじゃぁまるでファーストバイドじゃん。

こういうのって、結婚式とかにやるんだよね。

確かお兄ちゃんたちがやっていたような。

「早くしろよ」

「分かってるよ!」

正宗に見つめられながら、私はチーズケーキを食べた。