でも、店長は『コスモス』を使うのは、彼らに悪いって事で、ドイツ語に変えているんだけど、その“彼ら”ってのが、誰を指すのかよく分からないんだ。

「お待たせ致しました、ペペロンチーノとスープパスタになります。ごゆっくりどうぞ」

頭を軽く下げて、店長の元へと戻ろうとした時、私のすぐ近くで歓声が上がった。

「見て見て!涼介様よ!」

「ほんとだ!素敵ねっ!」

涼介?

誰それ?

その女の子たちは、お店の中にあるテレビに釘付けだった。

「なんだろ?」

ちょっと気になって、私もテレビへと近づく。

テレビに映っていたのは、あるアイドルグループのライブの様子だった。

「私も行きたかったなぁ」

「しょうがないよ。“COSMOS”のライブチケットって、手に入れるの凄い大変みたいなんだって」

「それじゃぁ、いつ行けるか分からないじゃん!」

女の子たちの会話からして、相当人気なアイドルグループみたいだ。