歌が運ぶ二人の恋

【蘭】

「私のかっこおかしくないよね?」

正宗と約束をして当日ーー

私は、待ち合わせの時間より二十分も早く来てしまった。

「やっぱり、ちょっと早かったかな?」

一応変装のために帽子とダテ眼鏡はかけてきたけど。

「バレるかどうかすごい不安だよ……」

駅前に集合だから、人がたくさん通っているし。

「多分ナンパなんて」

「ねぇねぇ君!」

ナンパなんてないと思ってたら、まさかのナンパ!?!

ちゃ、チャラそうな二人だ。

「もしかして、一人だったりする?」

「すみません、人待ってます」

早く来て正宗!

この二人の相手なんて無理ある。

「じゃぁさ、その人が来るまで俺たちの相手してよ」

「すみません、あと五分ぐらいで着くって聞いてるんですけど」

「そんなこと言わずさ」

と一人の男が私の手首を掴んだ。

「いたっ!」

力強く掴まれたため、振り払う事ができない。

「やめてください、しつこい男は嫌われますよ」

私は、男たちを睨みつける。

「おー怖い怖い、せっかくの可愛い顔が台無しに」

「お前たちのせいで台無しになってるんだろ?」

「えっ?」

その時、私の手首を掴んでいた男の手首を、誰かが力強く掴んでいた。

「俺の彼女になにしてんの?」

正宗の目がサングラスの中で男たちを睨みつけるのが分かった。

す、すごい怒ってる。