歌が運ぶ二人の恋

俺の中では、大切な人は作らないと決めていた。

でも、そんなのとっくになくなっていたんだ。

蘭が俺の中に入ってきた時からか?

でも、初めて俺の中に入ってきたのはかなめだった。

だけど、かなめと蘭は違う。

よく考えたら、俺の方が蘭に助けられたのかもしれない。

四年ぶりに姉さんの墓参りに行こうと決めたのも、あいつの笑顔を見てからだ。

あいつの笑顔は、人を勇気づけることが出来る。

「おーい、正宗聞こえてる?」

「はっ?な、何が?」

「何でもないや」

「な、なんだよ!?」

言いかけておいて言うのやめるなよ。

「ただ、少し変わったなって」

「はっ?俺が?」

どこが変わったんだ?

「最初に蘭ちゃんに会った頃に比べると、笑うようになった」

「俺が、笑う?」

周りからはそう見えているのか?

だとしたら、それは蘭の影響なんだろう。

「俺が笑うようになったのは、あいつの笑顔が移ったんだろ?」

「そうだね、かなめも言ってたよ。蘭ちゃんの魅力は素敵な笑顔だって」

「俺逃げないよ、蘭に俺の気持ちを伝える」