歌が運ぶ二人の恋

俺が十四歳になった時、母さんは再婚した。

前の親父は、姉さんが死んだ後すぐに離婚した。

別に再婚しようがしまいが、そんなの俺には関係なかった。

だけど、妹が生まれて俺は母さんに失望した。

妹の名前を姉さんと同じ『希世(きよ)』にしたからだ。

俺は、母さんが何を考えているのか分からなかった。

死んだ姉さんの名前を妹の名前にし、嬉しそうに希世と呼ぶ姿を、俺は見ていられなかった。

姉さんは死んだのに、姉さんを求め続ける母さんの傍を俺は離れた。

毎年必ず姉さんの墓参りには行っていたけど、それを境に俺は墓参りには行かなくなった。

墓参りに行ったら母さんの事を思い出す、あの事故の瞬間がフラッシュバックする。

そんなの嫌だった。

もう何も考えたくなかった。

大切な者の存在を作りたくなかった。

そんな仲で、俺は涼介たちと出会ってCOSMOSを結成した。

そして、蘭に出会った。