歌が運ぶ二人の恋

「涼介こそ珍しいな、いつもなら先に帰ってるのに」

「そうなんだけどさ、そろそろ考えないといけないことがあってね」

「なんかあるのか?」

「実は、近々僕とかなめが出会った記念日なんだ」

あー、そういうことか。

「それで、何かプレゼントするのか?」

「まぁね、それを考えてるんだ」

「かなめだったら、何でも喜びそうだけど」

涼介からのプレゼントなら、あいつは何でも喜ぶだろうしな。

「でも、僕的には今回のプレゼントはちゃんと考えたいんだ」

「えっ?」

涼介は、何かを決めたように右手を力強く握った。

「かなめもそろそろ十八になる、そこで僕はかなめと約束を形のあるのもに変えたいんだ」

「約束って、お前たちが婚約する話か?」

「そうだよ。今のかなめとの関係を嫌っているわけじゃないけど、全国ツアーが始まれば当分は会えなくなる。だから僕はかなめにプロポーズしようと思ってる!」

「は、はぁ?!」

プロポーズって、気早すぎないか!?

二人は婚約者同士だから、いずれ結婚する運命だけどまだ十八だそ。

「おい涼介、まさか全国ツアーから帰ってきたら結婚しようとか考えてないよな?」

「いや、プロポーズはするけど結婚はまだしないよ」

「そ、そうか」

よく考えたら、涼介の親父が即結婚なんて許すわけないよな。

ちょっと考えてすぎたかもしれねぇ。