歌が運ぶ二人の恋

「な、何でそんなこと思うの?!」

「えっ?もしかして気づかれてないと思ってたの?」

「思ってたけど……」

「一応言っておくけど、もう私たち知ってるから」

「嘘でしょ?!」

里音はともかく、心愛と優にもバレてたの?!

私ってそんない分かりやすい?

「そりゃぁ、あんだけ正宗のこと見てればな」

「私は、至流婆君から聞いたの」

私の頬に汗が流れる。

「で、でも私が一方的に正宗のことを好きなだけであって、だから正宗には自分の思いとか伝える気なくて」

「だれもそこまで話せなんて言ってないけど」

「うっ!」

里音の言葉がグサリとくる。

確かに、少し慌てすぎちゃったかな?

別に三人にバレてもいい事なんだけど、この恋は誰にも相談せずにしようと決めていたから。

「でもさ、自分の気持ちを伝えないなんて勿体なくない?」

「そ、それには色々と理由があるの」

「理由ってなんですか?」

理由はただ一つ、正宗が女の子を好きにならないこと。

これは、三人には言わない方がいいよね。

「ひ、秘密だから言えない!」

私は、近くにあった自分の服と鞄を手に取って楽屋から出た。