「だけど、阿修羅より女の子のファンが多いなら、それもそれで良いけどさ」

あっ、嫌ではないんだ。

「そ、その言葉はファンが喜びますね。では最後に蘭さん」

「は、はい!」

「あなたに好きな人は居ますか?」

「……えっ?」

ちょっと待って、ここまで普通的な質問だったのに、何で私だけ特別的な質問なの?!

「えっと、それはつまり尊敬している人でもいいんですか?」

そう質問すると、質問者さんはニコッと笑うと。

「いえ、異性です」

とはっきり私に言った。

「そ、そうですよね!」

どうしよ、ここはやっぱり誤魔化すべきだよね?

だって、こんな全国でテレビ配信されている番組で、「私は、正宗が好きです」なんて言ったら、正宗のファンの子たちに何をされるか分からない!

そして、雑誌とかに大々的に取り上げられそう。

「えっと、特別に異性として思う人は、今のところは居ません」

考えるに考えて、そう答えることしか出来なかった。

そんな様子を見て楽しんでいるかのように、里音が悪戯心満載の笑みを浮かべていた。

そして、無事収録が終わり今日の撮影はすべて終わった。

「今日もお疲れ様でした。今日は早く帰れるので、ゆっくりと休んでくださいね」

美宇さんは、私たちを楽屋まで送り届けると、楽屋から出て行った。

「はぁ、疲れた」

「そうですね」

一番疲れたのは、私なんだけどね。

「ところでさ蘭」

「なに里音?」

「蘭の好きな人って、正宗だよね?」

「……」

里音の言葉で、一瞬静まり返る楽屋に、最初の声を発したのは私だった。