歌が運ぶ二人の恋

「蘭の傍に居る時、あの子の手の平に、正宗さんの手のひらを重ねてあげてください。そして、あの子の恐怖を取り除いてあげてくざい」

「分かりまし。それが俺にしかできないことなら、俺は蘭の傍に居ます」

「ありがとう、正宗さん」

その時の葵さんの笑顔は、どことなく蘭に似ていた。

「それで正宗さん、もう一つお話したいことがあります」

「なんですか?」

「蘭についてです。この話はまだ本人には話していませんが」

「えっ?」

俺は、この後聞かされた話に驚いて、持っていたサングラスを床に落とした。

「そんなっ」

この話は、俺の口から話していいのだろうか。

もし話をして蘭の心が壊れてしまったら。

俺の中でまた大切な人が居なくなる。

「あいつの泣く顔なんて、見たくねぇよ!」

窓の外は、激しい雨が降り続いていて、今の俺たちの様子を表しているようだった。