歌が運ぶ二人の恋

町へと帰ってきた私は、まずはお兄ちゃんのお店へと向かった。

「こんばんは」

「いらっしゃい蘭ちゃん」

「こんばんは、優愛(ゆい)さん。お兄ちゃん居ますか?」

「居るわよ、ちょっと待っててね」

優愛さんは、奥の方へと行くとお兄ちゃんの名前を呼んだ。

「朝柊(あさひ)君!蘭ちゃん来たよ!」

「今行くよ!」

「また椿ちゃんか」

本当に娘ラブだよねお兄ちゃんは。

「お待たせ蘭、母さんは元気にしてたか?」

「うん、元気だったよ」

「そうか、それとこれな。さっき言ってたケーキの食べ放題チケット」

「ありがとう!」

これがあれば、ケーキ食べ放題だ。

「そうだ蘭、余ったケーキあるけど持って帰るか?」

「うん、持って帰る」

お兄ちゃんの作るケーキ美味しいんだよね。

昔から女の子みたいにケーキ作るのが好きで、よくおやつとかに作ってくれていた。

将来自分のケーキ屋を出すとか言って、お母さんと一緒に心配になったけど、こうして実現させたんだよね。

ある意味自慢のお兄ちゃんかもしれない。

「蘭ちゃん、テレビ見たよ」

「えっ?」

「まさか本当にアイドルになるとは、驚いたよ」

「夢見つけたのか?」

お兄ちゃんにそう聞かれ、私は軽く頷く。

「そうか、お前の夢なら俺は反対しない。母さんもそうだからな」

「ありがとう、お兄ちゃん」

お兄ちゃんの店を出た私は、正宗のことを考えていた。

「今頃どうしてるかな?」

一緒にケーキ食べ放題行ってくれるかな?

今回正宗を誘おうと思ったのは、これまでのお礼のつもりなんだ。

「うーん、渡すタイミングあるかな?」

COSMOSは、全国ツアーに向けてのレッスンが始まるっている。

MEITOも、色々なテレビ番組に出演していくから、なかなか時間が合わないかもしれない。

「誰かに頼むってのもあるけど」

でもこれは、自分で直接渡したい。

「帰ってじっくり考えようかな?」

ケーキもお兄ちゃんから貰ったしね。

「一人でこれ食べられるかな?」

予想以上に多く貰ったから、食べきれなかったらかなめ先輩におすそ分けしようかな?