歌が運ぶ二人の恋

「お母さん、お見舞いに来たよ」

「あら、蘭じゃない」

お母さんは、読んでいた小説をすぐ近くの机の上へと置いた。

「起きてて大丈夫なの?」

「大丈夫よ、ただの過労なんだから心配しすぎよ」

「それでも心配だよ」

私は、ベッドの近くの椅子に座る。

「どうだったの?デビューライブは」

「うん、ちゃんと成功したよ。でも、本番になったとき、不安で体が震えちゃったんだ」

「そうなの」

「でもね、COSMOSの正宗って男の子が私を元気づけてくれたの、そのおかげで無事に成功させることができたんだ」

お母さんは、軽く微笑むと私の手を握った来た。

「蘭は、その正宗君が好きなのね?」

「う、うん。やっぱり分かっちゃう?」

「もちろんよ、だって私は蘭の母親よ。お母さんに分からないものなんてないんだから」

「うん」

でも、私の気持ちを正宗に伝えたら、正宗はどう返事してくれるのかな?

ちゃんとした返事をくれるだろうか?

もしかしたら、今の関係も壊れてしまうかもしれない。

拒絶される可能性だってある。

「蘭は、自分の気持ちに素直になりなさい」

「お母さん?」

「蘭から言わないと始まらない事だってあるんだから、自分に自信を持って素直な気持ちを伝えればいいのよ」

私の素直な気持ちを正宗にーー。

でも、やっぱり怖い。

「じゃぁ、お母さんが蘭に新しいおまじない教えてあげる」

「おまじない?」

『大丈夫、大丈夫』っていうおまじないは、お母さんから教えてもらったおまじないの一つだ。

他にも、色んなおまじないがあるんだ。