歌が運ぶ二人の恋

【蘭】

「もう少しだね」

あれから数十分経って、バスに乗った私は隣町の病院近くのバス停で降りた。

「お母さんに会うの楽しみだな」

病院の近くに来たところで、私のスマホが鳴る。

「誰だろう?」

スマホの画面を見てみると、そこには『お兄ちゃん』と映っていた。

「お兄ちゃんからだ?」

何のようかな?

スマホの画面をタッチし、電話に出る。

「もしもし、お兄ちゃん?」

『おっ!でたでた。今どこにいる?』

「今は、お母さんの病院の近くだけど」

『そうか、実はさ近々俺の知り合いの店で、お店のオープン記念にケーキの食べ放題をやるんだってさ』

「ケーキ食べ放題?!」

それって、ケーキ全部ただで食べられるってことじゃん!!

『行きたいか?』

「うん!めちゃくちゃ行きたい!」

『それは良かった。本当は俺と妻で行くはずだったんだけど、店が忙しくてさ』

「そうなんだ、じゃぁ私が二人の分までたくさん食べてくるね!」

『食べ過ぎて太るなよ!』

「太らないもん!」

ケーキ食べ放題なんて、滅多にないことだよね。

どんなケーキが出てくるのか今からでも楽しみだ。

『それでさ、チケットが二枚あるんだ。里音ちゃんでも誘って行ってきなよ』

「チケットが二枚?」

それで、私はある事を思いついた。

「大丈夫お兄ちゃん、連れていきたい人一名いるから」

『そうなのか?』

「うん!」

ケーキの食べ放題だから、きっとたくさんのチーズケーキもあるよね。

『じゃぁ、病院帰りに家に寄ってくれよ』

「はーい」

『それじゃぁな、母さんにもよろしく言ってくれよ』

「分かってるよ」

お兄ちゃんとの通話を終え、私は大きな病院の中へと入る。

「えっと、お母さんの病室は」

エレベーターに乗って、私は三階に降りた。

そして、お母さんの病室の扉をノックする。

「はーい、どうぞ」

中からお母さんの声がして、私は部屋の中へと入る。