歌が運ぶ二人の恋

「これで、お兄ちゃんもパパか」

私は店長のもとへと戻り、事情を話して今日のバイトは抜けさせてもらうことにした。

「そうかぃ、ようやく生まれるんだね」

「はい!」

「私も早く見たいよ」

「今度は、お兄ちゃんたちと来ますね」

頭を下げて、更衣室へと行き私服に着替える。

「早くしなくちゃ」

お兄ちゃんが開いているお店はケーキ屋さん。

でも今は、お店のお手伝いさんが店番してくれていると思う。

私も特に用事やバイトがない時は、なるべくお店に行ってお兄ちゃんたちの仕事を手伝っている。

お店に並べられたケーキは、見るだけでも好きだ。

宝石のように一つ一つ丁寧に作られたケーキは、自然と私を笑顔にしてくれる。