歌が運ぶ二人の恋

「あれ?正宗どうしたの?」

「涼介」

今一番会いたくないやつに会っちまった。

「顔が赤いけど、風邪でも引いたのか?」

「そ、そんなんじゃない!ただ暑いだけだ」

適当にそんなことを言うけど、言ったところで涼介のやつはもう見抜いているかもしれない。

「そっか、確に最近暑いもんね。熱中症にならないように水分補給しっかり取るんだよ」

いや、今のは俺の言い間違いだ。

こいつに限って絶対蘭のことについては知らないわ。

だってこいつ、かなめと付き合う前に自分の気持ちにすら気づかなかった超鈍感野郎だ。

「鈍感」

「何か言った?」

「別に」

まぁ、相談する気なんて最初からないけど、この問題は俺が自分でなんとかする。

「あっ、そうだ正宗。今日蘭ちゃんと何か待ち合わせとかしてる?」

「はっ?そんなのしてる分けねぇだろ。大体待ち合わせしてたら俺はここには居ない」

「そうだよね」

蘭が誰かと待ち合わせしてた?

もしかして、男とか?

「さっきさ、ここへ来る前に蘭ちゃん見かけてさ、店の中で誰かと待ち合わせしてるように見えたんだ」

「へぇ、そうなんだ」

そ、そんなの蘭だって男友達の一人や二人居るだろうし、居たところで俺には関係のないことだ。

「そういえば、蘭ちゃん何か眼鏡かけて可愛い服来てたなぁ」

その言葉に、俺は肩が軽く上がる。

「あんなに可愛い蘭ちゃん初めて見たよ、となるとあれは男待ちかな!」

その時、涼介が横目で俺の様子を伺っていることに気づかなかった。