【蘭】

「今日は、色々とあったな」

私は、窓の外を眺めながら今日のことを振り返っていた。

星が輝く空を見て、私は軽く微笑んだ。

正宗には、いつも助けてもらってばかりだ。

会った頃は、生意気で嫌な奴だと思っていた。

でも、そんなことを思っていた自分はもういない。

「何かお礼をしたいな、何がいいかな?」

「蘭!」

「正宗?」

正宗は、私の所へと来ると私の顔を見て来る。

「どうしたの?」

「いや、なんか元気ないと思ってさ」

「そうかな?」

それはつまり、心配してくれていたってこと?

「心配してくれたの?」

「そ、そんなんじゃねぇーよ」

照れるってことは、心配してくれてたのか。

ほんと素直じゃないよね。

「ありがとう。私は大丈夫だよ。正宗のおかげで私は、ステージの上に立てたし」

「なら、いいや」

正宗はそう言うと、涼介さんたちのところに戻って行った。

「明日、お母さんのお見舞いに行こう」

そして、今日のことを話したい。

正宗って男の子のことを話したい。

初めて好きな人が出来たって事を話したい。

正宗は、『女は好きにならない』と前に言っていた。

だけど、そんなの私がひっくり返すよ。

私のこと、好きにならせて見せる。