歌が運ぶ二人の恋

「次は、俺と同じ色は青の南雲優」

南雲は、ゆっくりとステージへと歩いてくると、マイクを阿修羅から奪って言う。

「南雲優だ、よろしく。私は騒がれるのはあまり好きじゃないけど、この男よりは、人気が欲しいと思ってる」

「やってみなよ」

この二人相変わらず仲が悪すぎる。

「あの子かっこいいね!」

「阿修羅様を抜くなんて、もぅはまりそう!」

でも、これはこれで人気出んのか?

「次は、色は俺と同じ黄色で、名前は相馬心愛っす!」

相馬は、おろおろとしながらステージへと歩いてくる。

「こ、こんにちは!相馬心愛です」

目に涙を浮かべながら、頭を下げる姿に数名の男どもがドストライクしたようで、男どもの歓声があがる。

「うぉー!女神!!!」

その完成にビクッと肩を軽くあげる相馬だが、直ぐに男どもに笑顔を向けた。

「くそっライバルが!」

「お前は、もう良いだろ」

ファンにライバル心向けてどうすんだよ。

俺は、蘭が居る方へと視線を向ける。

蘭は今だに、視線を前へと向けず、じっと下を見つめている。

「大丈夫なのか?あいつ」

俺は、口を開いて蘭の名前を呼ぶ。

「次が最後の一人、俺と同じ色は緑、星美夜蘭」

すると、蘭は下げていた顔を上げると、真っ直ぐ俺を見てきた。