歌が運ぶ二人の恋

「もしもし、どうしたのお兄ちゃん?」

『あっ!出た出た。ごめんなバイト中に』

「別に大丈夫だよ」

何か急いでるのかな?

話す言葉がいつもより早い気がする。

『実はさ、これからこっちに来てもらえないか?』

「えっ!何で急に?!」

『ちょっとな、妻のお腹に陣痛が始まってさ』

「もしかして、赤ちゃんっ?!」

『そう!それでこれから病院に行かないといけないんだ』

「そ、そっかっ!」

私と八歳離れているお兄ちゃんは、去年美人の奥さんと結婚式をあげた。

そして、数カ月前奥さんがに妊娠したことが分かったとき、お兄ちゃんは凄くはしゃいでいた。

「分かった、お店の方は私に任せて」

『助かるよ、それじゃぁよろしくな』

お兄ちゃんはそう言うと、通話を切った。

「赤ちゃんか、早く見てみたいな」

予定では、女の子が生まれる。