歌が運ぶ二人の恋

「正宗……」

「何だよそのちっさい声は、いつものお前らしくないな」

「そ、そんな事ないよ」

てのはもちろん嘘。

だけど、正宗の顔見たら、ちょっとだけ気が楽になった。

「COSMOSのみなさん、スタンバイお願いします」

「はい」

楓さんに呼ばれた正宗たちは、ステージの方へと歩いて行く。

「あっ!」

その時私は、咄嗟に正宗の服を掴んでいた。

「蘭?」

「あっ!な、何でもないよ」

そして、すぐに放す。

「が、頑張ってね」

顔を伏せて、私は弱々しくそう言った。

「っ?ら」

「正宗さん、早くして下さい」

正宗は、楓さんに腕を引かれて行ってしまった。