歌が運ぶ二人の恋

「失敗は許されない」

その言葉が私の中でぐるぐる回る。

「わ、分かってるそんな事、失敗しちゃいけない事ぐらい」

部屋を出て、ステージへと向かう途中、私の手は震え出していた。

「お姉様、また意地悪したんですか?」

「そうだよ。 COSMOSの妹メンバーで、MEITOのリーダーになる子だ。どこまで出来るか見ないと」

「でも、あの子顔青かったですよ?」

「言い過ぎなのでは?」

「い、いつもの癖で、いじりすぎたよ」

四姉妹がそんな事を話していることなんて、私は知る由もないなかった。

「うわぁ。見てあんなにたくさん人が居る!」

「そ、そうですね!」

「多いな」

「……」

里音達は、観客席が見える位置へと行って、沢山の人達を見ている。

だけど、私は見る気にもなれなかった。

「……」

まだ手の震えが止まらない。

心の中で「大丈夫」のおまじないをかけても、全然いつもの私に戻らない。