歌が運ぶ二人の恋

『あ、あのさ』

「な、何?」

やばい、声裏返ったかも。

『明日、頑張れよ』

「へ?」

正宗の言葉に驚く。

「ま、正宗だって、明日シングル曲の発表なんでしょ?」

何でこんなにドキドキするんだろう、最近の自分おかしいよ。

『俺は大丈夫だよ、お前と違って散々ライブしてきたからな』

またこいつはっ!

生意気な口調でっ!

「あっそうですか、正宗に言われなくても頑張りますよ」

私はいつもの癖で、憎らしい口調で言ってしまった。

はぁ、私の馬鹿者。

『そうか、なら安心した』

「へ?」

『じゃな』

「ええ?!ちょっと待っブチッ」

前と同じく、私の話を最後まで聞かないで、正宗はいきなり電話を切った。

「一体何だったの?安心したってどういうこと?」

「安心した」って言葉が、頭の中に残る。

今夜は、あまり寝れないかも。

と思った私だけど、いつも通りぐっすり眠ることができた。