歌が運ぶ二人の恋

「なら、夜に会うんじゃなくてこの時間帯を使って会えばいいじゃないか……」

「仕方ないだろ、今日学校なんだから」

「なら、遅れてでも涼介の通う学校に行けばよかっただろ?」

「まぁ、今日はゆっくりお前と食事したかったんだよ」

「どこがゆっくりだ……」

二人の会話が無くなった所で、私はお盆に乗せた料理を二人の席へと運ぶ。

「お待たせ致しました」

「おっ、きたきた」

「……」

翡翠色の髪の男の子は、チーズケーキを見ながら浮かない表情をしていた。

どうしたのかな?

もしかして、嫌いなものだったとか?

私の視線に気づいた男の子は、私を睨むとチーズケーキを食べ始めた。

睨みつけられたことには納得いかないけど、嫌いじゃなくてよかった。

でも、何であんな表情を?