歌が運ぶ二人の恋

「おい、その変にしておけってば」

金髪の人がそう言うと、翡翠色の髪の男の子は黙った。

「ごめんね。こんなこと言うけど、本当は優しい奴なんだ」

「そ、そうなんですか……?」

とてもそんなふうには見えなかった。

「それで蘭ちゃん」

「は、はい!」

急に名前で呼ばれてびっくりした。

でもこの人に私の名前教えてないよね?

金髪の人は、私の左胸の所に指をさす。

「君さ、蘭ちゃんって言うんでしょ?」

あっ、そっかネームだ。

いつもエプロンの胸ポケットに付けてたのを忘れてた。

「は、はい。星美夜蘭です」

「綺麗な名前だね」

「そ、そんな事ないですよっ!」

今度は自分の名前を褒められて慌てる。