学校から離れて生徒の姿がなくなったのを確認して、


「……結衣」


オレは名前を呼んだ。


「何か言ってくれよ」


オレの切なる願いに、


「結衣って呼ぶの――禁止」


無情な宣告。


「でも、あれは――」


言いかけた言葉を、呑み込んだ。


オレが約束を守らなかったのは、事実。


ここで何を言っても、言い訳にしかならないからだ。