涙がこぼれる季節(とき)【完】

小5の時、近くの野球チームと練習試合があり、私たちもスコア付けの練習をするために観戦していた。

そして、序盤から相手チームのヤジにイライラしていた。


中盤、こちらのピッチャーがボール球を3つ連発すると、相手チームは、

「ボール3つ! ボール3つ!」

などと合唱し、フォアボールになると、

「イェ~イ」

大げさに喜んでみせた。


その後の攻撃で、向こうが同じ状況に陥った時、さすがに我慢の限界だったのか、悠斗たちも、

「ボール3つ!」

言い返したけど、

「やめろッ」

監督に一喝されて渋々黙り込んだ。



練習試合だったので審判は両チームの保護者がやっており、誰もヤジを注意することなく、試合は終了。


勝利したのは、A少年団。


負けてふてくされ、最後の礼も握手もいい加減な、相手チーム。