<佐伯美桜>


夏――県大会決勝戦。


入部以来、初の、県大会決勝進出。



しかも、夏の甲子園がかかった、試合。



私と結衣は、ずっと夢だった応援席で、応援を満喫していた。




5回表――相手のF高に先制されたが、その裏、悠斗のタイムリーツーベースで、同点となった。


悠斗は今日、スタメン出場。


K高に入学してから、中学時代以上に悠斗は真剣に練習するようになった。


きっと。


結衣の夢を叶えるために――。




6回表――F高に2点目を追加されて。


その後、チャンスはあったものの、K高の追加点はなかった。




8回裏――K高の攻撃。


1アウト満塁から犠牲フライで同点に追いつき、次のバッターは、デッドボール。


2アウト満塁――迎えるバッターは、今日3打数3安打の、悠斗。





スタンドは、祈るような期待に包まれた。